フィルムをスキャンする

4×5からフィルムスキャンした写真。昔はよくリンホフとか持ち歩いて撮ってたんですよね・・・

最近なにかとフィルムを使いたいという人も周りにチラホラいて、それをデジタル化して家でプリントしたいという人も。
インクジェットなどでデジタルプリントするならデジタルカメラでいいんじゃないの?と、黎明期、いや、デジタルカメラが普及する前からさんざん試してきたワタシは思うのですが・・・。

で、教えるためのサンプルを作ったりしていたので、ちょっとガイド的なお話しを。
ちなみに、上の写真は4×5で撮ったモノクロネガをフラットベッドでスキャンしたもの。

まずフィルムをデジタルデータ化するにはスキャナー、あるいはそれに準じる機器が必要ですのでそのあたりを。「だったらこっちがいいんじゃない?」って話しも出てくるので、何かを買うつもりのある方は 最後まで読んでから決めましょうね。

フィルムスキャナー

フィルムをスキャンするといえばフィルムスキャナー。
でもデジタルカメラが一般化した現在、国産の高性能フィルムスキャナーは消えてしまい、現在は海外製のものが出回っています。でも、意外と高性能だったりします。いちいちパーツはチャチだったりするんですけどね。

35mmフィルムのスキャンで良ければ以下で良いかと。

フィルムスキャナーとしてはかなり安いんだけど、これでも高いと感じるなら 赤外線のゴミ取り機能はないけど以下を。

すでに国内でも定評があり、価格からすると十分すぎる性能。
付属のソフトはSilverFast Ai Studioで、これも高機能なもの。7200dpiで35mmフィルムを読めるので通常はこのレベルで十分かと。

これらは35mmフィルムのみ対応なので、それ以上のブローニーや大判フィルムは読めません。

Plustek OpticFilmも120というブローニーまで読める機種がありましたが、どうもディスコンになった様子。あっても価格は28万円近くしますけど・・・。

じゃぁそれ以上のサイズのフィルムスキャナーは?となると、メチャクチャ高価なハッセルブラッド(旧イマコン)などのフィルムスキャナー(←これ高いけどメチャ良い!)か、中古で昔のものを探すしかありません。

ただし、中古の古い機種は最新のパソコンのOSに対応しなかったりします。
機種によってはソフトウェアをVueScanやSilverFastで使用することで使えますが、インターフェイスがUSBでなくIEEE1394だったりするものもあるのでインターフェイスも使えるかチェックする必要があります。

ワタシもNikon CoolScan 9000EDなど所有していますが、IEEE1394のインターフェイスや、ソフトウェアが64bit環境に対応しないことからしばらく眠っています。かなりの高画質なんですけどね・・・。

ワタシもニコンのCoolScan 9000ED (https://www.nikon-image.com/products/other/other_product/super_coolscan_9000_ed/)なんて機種を未だに持っていますがしばらく眠らせたまま。
Windows用のIEEE1394インターフェイスカードがどこかにあるはずなので探して、純正ソフトは使えないので社外ソフトでそのうち試してみる予定。

社外スキャニングソフトについて

中古でフィルムスキャナーを購入する場合や、古いフィルムスキャナーを持っていて使いたいと思う方は、ソフトウェアは純正以外に頼る必要があるでしょう。メジャーな汎用スキャニングソフトは以下のVueScanとSilverFastの2つ。

SilverFast 9 - Brilliant Images with SilverFast
SilverFast 9 - Brilliant Images with SilverFast
VueScan Scanner Software for macOS, Windows 10, and Linux
VueScan is the easiest way to get your scanner working on macOS, Windows 10 and more. VueScan includes a driver for your scanner even though it isn't support an...

どちらが良いかと聞かれれば、クオリティ、速度、インターフェイスなどのバランスを考えるとSilverFastですね。ワタシ個人は現在持っていませんが、某デザイン事務所で使って作業していました。インターフェイスはどちらがとっつきやすいかは人にもよると思うので、試用版で試してみてください。

問題はコストでしょう。
VueScanはOSごとには異なりますが、1つのパッケージを購入すればいろいろなスキャナー機種で使用できます。しかしSilverFastは機種毎、OS毎にライセンス購入が必要です。また、VueScanはフィルムスキャナー対応版が1万円ですが、SilverFastは39000円くらいします(もちろん1機種用で)。本格的に使い込むというのでなければ、VueScanがダメというわけでもないのでVueScanを使ってみるのがいいかもしれません。ワタシもそうしてみる予定です。
ちなみに、OpticFilmにはそのSilverFastが標準ソフトとして付属してきます(他の機種での使い回しは不可)。




フラットベッドスキャナー

35mmフィルムだけならOpticFilmで十分と思われますが、それ以上のサイズとなると現在は透過原稿ユニット付きのフラットベッドスキャナーになると思われます。ただこれも現在は選べる機種はほとんどありません。昔は欧米製品を含めてかなり選べたんですけどね。Umaxとかライノタイプヘル サファイヤとか・・・懐かしい 😅

国産ではエプソンとキヤノンが出していましたが、現在はエプソンのみ。これから買うなら一択ですね。GT-X980です。

フラットベッドスキャナでの読み取りはピントが合わずに無駄なシャープ処理が必要になりますが、エプソンのGT-X980はデュアルレンズで対応してフィルムスキャナーほどではありませんがシャープな方です(ただし付属ホルダーを使用した場合のみ)。光学解像度も結構あるのでブローニーサイズ以上なら十分でしょう。35mmフィルムでもなんとかなりますが、できればもう少し解像度がほしいところですね。ちなみに、8×10のフィルムも読めるので大判フィルム派には強い味方です。

エプソンの純正ソフトはよくできているので、わざわざ社外ソフトを買う必要もないでしょう。

ちなみに、ワタシはこの前の型のGT-X970を使用していますが、ライトが蛍光管であること以外はほぼ似たようなスペックなので買い替えていませんが、今後のことを考えると980も欲しいところ・・・。

紙を読むときにはキヤノン(上)も使いますが、基本的にはエプソンのGT-X970(下)をメインに使っているワタシです。

ちなみに、キヤノンのCanoScan9000F MarkIIという機種も所有していて、こちらの方が後に買ったLEDライトのものなんですが、ソフトの機能が低く、ホルダー使用でしかフィルムを読むモードが使えなかったりしてワタシはフィルムスキャンには使っていません。大判にも対応できませんし。
ですので中古で買おうと思っている方はキヤノンのフラットベッドは避けたほうがいいかと。

スキャニングの問題

と、ここまで必要な機器を紹介してきましたが、フィルムのスキャニングはけっこう大変です。
しっかりと色や露出の基準を自分で作らないとスキャナのダイナミックレンジを活かせず、フィルムの良さをスポイルしてしまいます。露出によってはスキャナー独特のラインノイズが暗部に走ることもありますから。オートでもいろいろできますけど、ちゃんとした基準づくりがキモだったりします。
昔はこういうスキャナーのセミナーなんかもやったんですけどねぇ〜・・・。

そしてホコリとり、色合わせ、階調コントロールとやることはいろいろあります。
とりあえず一気にたくさん低解像度でスキャンして、後で1コマずつじっくり作業をする、なんてことを昔よくやりました。
一応スキャナ(ソフトウェア)にホコリとり、キズ取りの機能があっても、じっくり見渡す必要があるので疲れます。
また、フィルム本来のシャープネスからはどうしても落ちるので、何かしらのシャープ処理が必要で、ハイクオリティな画を作るにはレタッチソフトの単純なシャープ機能だけに頼っていたのでは最上のデータにはなりません。

かなり苦労するんです、スキャニングは。

しかも、高解像でブローニーフィルムなんて読んだりすると、巨大なデータサイズになります。1枚でGB単位のデータに。

で、ワタシがいろいろ試した限りでは、暗室を持っている方は8×10サイズ程度に軟調にプリントして、それを反射原稿として高解像で読み取ったほうがキレイです。フィルムから読むほうが大変です。ただし、これもプリントでしっかりトーンを出しておくことが必要です。
今さらやる人がいるかはわかりませんが、ゾーンシステムを勉強して、完全でなくてもある程度は感材の階調再現能力を引き出せるようになっておくことが理想です。




複写してしまう!

で、スキャニングはいろいろと大変なんですが、今どきは皆さんデジタルカメラを所有しているでしょう。でしたらフィルムを撮影してしまうというのもおすすめの方法です。今どきのデジタルカメラは非常に高画質ですので、これで複写してしまうのです。ホワイトバランスさえ固めておけば大きく色も転びませんし、デジタルカメラのほうが(エンジン部生成も含めて)スキャナよりダイナミックレンジが広かったりしますしね。

裏から安定した光を当て、透過した像を撮影します。カメラはできるだけ画素数が多いもので、マクロレンズを併用します。マクロレンズを持っていないなら、スキャナー購入と迷うところですね。ただ作業性はこちらのほうが全然上でしょう。
専用の機器でなくてもできますが、何かしらのアクセサリーを併用したほうが楽です。

ワタシがこれを使ったことがあるわけではありませんが、このようなアクセサリーです。

後ろから当てる光源がセットになっていないモノが多いので、その場合は安定したライトボックスなどを使うと良いかと。ホワイトバランスさえしっかり取れば色々な光源が使えますが、それでも昼光に近いモノの方が良いかと。
マクロレンズもこれから購入となると高くつくので(もともと買う予定の人は関係ないですけど)、マクロレンズがなにもない方はスキャナーで良いかと。マクロレンズも良いものを使わないときれいな像としてデジタル化できませんので、10万円近い出費となるでしょうから。

まとめ

ということで、いろいろ紹介しましたけれど、手っ取り早いのはデジタルカメラでの複写。

マクロレンズがない人は、フィルムスキャナー。ブローニー以上も読む人はエプソンのフラットベッドスキャナー、といった感じでしょうか。
お金がいっぱいある人は イマコンのフィルムスキャナーを買ってください(笑)

ただ繰り返しますが、味の部分やプロセスの楽しみは別として、最終的にデジタルプリントするならデジタルカメラで撮影したほうが楽だしキレイだったりしますよ。

VueScanをテスト
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