今回も中古車撮影仕事のお話しの続編。
(本連載はWebカメラマンとのリレー連載です。前第2回はWebカメラマンに掲載されています https://cameraman.motormagazine.co.jp/_ct/17259871 )
1996年の何月頃だったかは忘れてしまったけれど、中古車撮影で富士フイルムから発売されたフジックスDS-300というデジタルカメラが撮影機材として導入され、カーセンサーのカメラマンらに一人一台持たされることとなりました。印刷会社のデジタル入稿の準備が整ったということですね。
実は数年前からソニーの電子スチルビデオカメラ マビカ MVC-1や、キヤノンのフロッピーカメラ Q-PIC RC250という2インチのビデオフロッピーディスクを媒体としたカメラで、デジタル入稿のテストを繰り返しているのは耳に入っていました。とうとうデジタルの時代が来てしまったかぁ~という感じでした。
とうとうと思ったのは、デジタルカメラになったらカメラマンじゃなくても簡単に撮れてしまうってことです。導入されたDS-300は140万画素で約30万円弱とまだまだカメラとしては高価でしたが、カメラの値段がどんどん下がってくればいずれ店舗に一台ずつ配布され、店員さんが撮影、営業がメディアの回収(いずれネット送信)って流れになるだろうと想像できます。その時点でカメラマンはお払い箱ってことが見えてきてしまったんですねぇ。
「これはヤバイぞ、この仕事にしがみついていたらご飯食べられなくなる!」ってことで、自分の持ち味を出せる写真を撮ろう、まだカーセンサーの仕事があるうちに花の撮影をしよう、と思い立って平行してやっていた証明写真を辞めて、花の撮影に本腰を入れるようになったんです。
スペックや画質は今と比べたら格段に低いですが、当時は140万画素で30万円って激安じゃん!って時代。クオリティはまだまだフィルムの方が高かったので、花の撮影はフィルムで撮影しました。そうはいっても、時代の流れ的にデジタルも本格的にやっておかないとってことで、当時乗っていた車を売ってPowerMac7300を買ったのでした。
ただ、一気に動きすぎて究極のビンボーになっていったのです。家賃と光熱費、フィルム代と現像代を払ったらもうお金がほとんどない。カーセンサーの仕事も予想通りだんだん減ってきて収入も少なくなり、春咲きは土手でふきのとうを探して食べたり、サバイバルしてました(笑)
毎日10個300円の冷凍コロッケ1個とご飯を食べ、お米がなくなったらドックフード(犬がそれだけ食べて生きているんだから平気だろうと)を食べていましたが、そんな食生活でまともに生きていけるわけもなく、3ヶ月くらいで体調崩してしまって、泣く泣く親に頭を下げて再び実家でお世話になることになりました。
続く・・・
※本記事はWebカメラマンと旧KITTgogoサイトでのクロス連載記事です。Part2,4,6はWebカメラマンサイトでの公開です。各回のリンクは以下になります。





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並木 隆 (なみきたかし・Takashi Namiki ): 1971年東京生まれ。 高校生時代月刊カメラマンを通じて丸林正則氏と出会い、以降写真の指導を受ける。東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)中退後、フリーランスに。花や自然をモチーフに各種雑誌誌面での作品発表。日本写真家協会、日本写真協会、日本自然科学写真協会会員。 |