原付スクーターで撮影に行こう!-2


「原付スクーターで撮影に行こう!」 連載二回目は収納について紹介しましょう。
スクーターというと持って行ける荷物が少ないのでは?とか、しっかり撮るのに三脚を持って行くのが厳しいのでは?と聞かれます。また、カメラのような精密機器は振動に弱いからバイクの振動はダメなのでは?とも聞かれます。今回はその収納について見ていきましょう。

まず前提となる撮影機材ですが、コンパクトな機材で身軽にという考え方もありますが、ここではしっかり撮れることを前提としています。しかも使用するカメラは中判ミラーレスカメラの富士フイルム GFX 50R。風景などである程度絞りつつISO感度を無駄に上げないようにするためしっかりした三脚も使用することも前提としています。そしてレンズは数本を携行します。

35mmフルサイズ機のセットの場合もありますが、作品撮影でメインで使用し始めているGFX 50Rのセットでもバイク移動で使用。中判クラスはバイクでは厳しいのでは?と聞かれます。

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カメラ・レンズの収納

ではそのカメラ機材の収納ですが、大型のトップケース(リアボックス)に収める方法があります。雨具などの収納もありますのである程度大型のトップケースを装着することはお勧めしますが、ご想像の通り振動が伝わる場所ですので機材の収納場所として完全とはいいきれません。
筆者の場合はトップケース内底面に厚めの低反発ウレタンを敷き、機材を入れたカメラバッグごと中に入れることがあります。これで筆者ではこれまで問題を起こしたことはなく、時々メーカーチェックを受けても精度等に問題が発生したことはありません。でもこれはカメラ機材の種類(機種)、原付スクーターのモデルなどによって条件が大きく変わり、すべての状況で必ず大丈夫とは言い切れません。ちょっと昔には通常の歩行移動の振動でミラーが外れてしまうカメラというのもあったくらいです。その点ミラーレスカメラの方が駆動部品が少ないため少しマシだと思われますが、過信は禁物。
また、筆者が現在乗っている原付スクーターモデルはサスペンション(バネ)が硬めで、1名乗車時にはわずかな段差で大きな衝撃となることがしばしば。これではトップケースに入れるのはちょっと不安です。

安全に機材を運びたければバックパック(リュック)タイプのカメラバッグに収納し、背負って走行する方が安全でしょう。背負ったバッグならば鋭い振動は機材に伝わりませんから安心です。
筆者の場合はPeakDesignの20リットルのバックパックタイプのバッグ「 Everyday Backpack」を主に使用しています。GFXボディ、レンズ3本、予備バッテリーやメモリー、リモートスイッチなどを収納しています。たまに30リットルのバックパックタイプのバッグを使用することもありますが、あまり機材を詰め込みすぎて重くなっても運転に疲れてしまいますので、20リットルくらいが身軽で良いのではと思います。

 

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三脚の収納

さて、カメラとレンズだけでいいならバックパックで背負えばいいのでこれで終わり。
でも中判カメラや大きめのレンズを使用することを考えると三脚が必要になります。オートバイ移動で一番問題となるのがこの三脚の収納でしょう。長物はどうしても積みにくいものですから。
筆者は現在の原付スクーターに買い換えてから、三脚に迷っていました。しっかりした三脚は収めきれず、かといって弱いものは使いたくない。風景撮影にも使用するのでしっかりした3Way雲台も欲しい。これまでは迷いながら古いモデルですがベルボンのカルマーニュ 643 A.S.自由雲台セットを使用していましたが(現行モデルだとジオ・カルマーニュN645M IIあたりに相当するモデルでしょうか)、ローポジション撮影にはいいのですが高さが少し足りません。

大きな三脚をスクーターのキャリアなどに縛る方法ありますが、よほどしっかり縛らないと落下の危険がありますし、丸ごとは落ちなくてもネジなどを締め忘れてパーツが落ちてしまうことも考えられます。しかもちょっと動いては撮影、といったペースではいちいち縛るのは面倒で現実的ではありません。また、あまりに横長のものを積んでいるとやはり違反となることもありますから、収納スペースに入れることが理想です。よほどしっかりしたケースなどを自作できる人以外は収納スペースをベースに三脚を考えたいものです。

 

筆者のスクーター ホンダ リード125 (LEAD 125)の最大のメリットはシート下の収納の大きさ。ヘルメット2個分の収納スペースがあり、長さがある程度あります。最大値で約66cmほどの長さがありますが、凹凸もありますので安定して収納できるのは62、3cmといったところでしょうか。スクーターとしてはかなり大きな方です。それでも大型三脚をすっぽり入れるのはちょっと厳しいですね。

そこで、エレベーター部(センターポール部)を抜いて、脚部と雲台部を分離して収納すれば選択肢は広がります。センターポールが抜けないタイプでは分離収納は不可です。でも標準の状態では抜けないタイプでもジョイントタイプでショート化できるセンターポールを採用しているモデルでは、センターポールを短くしておくことでストッパーがなくなり、分離が可能になります。センターポールを抜くだけなら使うときにはすぐにセットできます。この方法なら、リアのトップケースに収まる三脚がいくつもあります。
こんな話をしていたら三脚メーカーのベルボンさんが相談に乗ってくれました。

 

LEAD 125はシート下の収納長が60cm以上あり、大型三脚のベルボン Geo Carmagne N740の脚部がしっかり収まります。センターポールを抜いておけばすべて収まります。使用時には1秒でセットできます。ちなみにこの中には古いCarmagne 643 A.S.セットと雨具も入れてあり、まだ余裕があります。

 

候補として選んでくださったのがカーボン製のGeo Carmagne(ジオ・カルマーニュ)N740 Setです。そう、Geo Carmagne N740はパイプ径32mmから始まる大型三脚に属するモデルで中判デジタルも余裕で対応。セットモデルの「Geo Carmagne N740 Set」にはしっかりした3Way雲台もセットになっています。
とはいえ標準の状態では縮長698mmあり筆者のバイクにそのままでは入りませんし、センターポールもストッパーがあるのですぐには抜けません。でも、センターポールのジョイントを外してショート化しておけば脚部は約58cmとなり、余裕で収まります。センターポールはそもそも微調整用ですし、Geo Carmagne N740は脚だけで169cmと筆者の目のあたりにカメラを持ってくることが可能。しかもローポジション撮影にも対応。軽量なカーボン&マグネシウムでなくてもいいのですが、スクーターを停めて歩行する可能性もあるのでやはり軽い方が便利。と、カンペキ!スクーター移動でもしっかりした撮影が行えます。
上の写真を見て「スクーターでこんなに入るの?」と思われた方もいるでしょう。今時は収納の大きなスクーターも増えているので侮れません。

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収納スペースが大きくない場合

大きな収納スペースがないスクーターの場合は、後部にトップケースを装着することで収納できる三脚はたくさんあります。
トップケースは撮影を考えると少し大きめの40リットル以上のものが便利です。取り付けにはキャリアも必要になるケースがほとんどです。バイクメーカーの純正オプションもよいのですが、バイク用品店であればいろいろなサイズ、デザインの中から選ぶことができます。ヘルメットの収納スペースが大きくない場合は45リットル程度のものがお勧めです。より大きなサイズがお勧めではありますが、車体の小さな原付スクーターにあまりに大きなサイズのケースをつけると風の抵抗を強く受けることもありますし、また道路交通法の違反となることもありますから、バイク用品店の人にどのサイズまで対応できるか聞いてみると良いでしょう。

 

 

さて、筆者は細かい荷物を収納するために40リットルのトップケースを装着しています。
内寸幅が37cmほどあります。だったらこれが使えるのでは、と提案して頂いたのがUTC-53Ⅱ AS。これもカーボン製で反転収納可能な超コンパクトに収まるモデル。
トップケースに収納してみると、横にすっぽり収まります。

大きめのトップケースなら コンパクトなUTC-53Ⅱ ASがスッポリ収まります。UTC-53Ⅱ ASはセンターポールを抜かなくても脚部にセンターポールが収まるためとてもコンパクト。

この三脚、ひねるだけでワンタッチで脚部の長さ調整ができてとても便利。伸ばしきった際の一番細い部分は一見心配になるのだけれどしっかりしていてたわみがなく、大型三脚ではありませんので中判クラスはやや厳しくなるのは事実ですが、実際に使ってみると中判でも軽いレンズなら対応できますし、ミラーレス一眼なら200mm程度までの大口径望遠ズームでも使えます。しかも筆者が通常使っているアルカスイス互換のクイックシューになっています。これは使えます!
しかもこのサイズならPeakDesignのバッグのようにしっかりした三脚収納スペースがあるバッグにセットして背負うこともできます。もちろんしっかり縛る必要はありますし、三脚がブラブラするようなバッグでは危ないので避けましょう。

 

筆者が長らく愛用しているPeakDesignのEveryday Backpackは、サイドのポケットにUTC-53Ⅱ AS収まりますし、写真ではつけていませんが固定用ベルトもつければバイク移動でも安心です。PeakDesignのバッグは銀一( https://www.ginichi.com/shop/products/list.php?category_id=1406 )で取り扱っています。

もうちょっと大きなサイズが入るならGeo Carmagne N545M IIあたりもお勧めですが、こちらのUTC-53Ⅱ ASの方が対応できるスクーター、トップケースは多いでしょう。
いろいろ提案頂いたベルボンさんに感謝です!

UTCシリーズの製品ページはこちら ↓

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この三脚、いろいろと面白いので別ページでも紹介しています。こちらも併せてご覧ください。

コンパクトな三脚。ベルボン UTC-53Ⅱ AS
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ということで、筆者のスクーターのシート下にはGeo Carmagne N740 Set、UTC-53Ⅱ AS、古いCarmagne 643 A.S.セットと、なんだかんだ3本の三脚と、雨具が収納されていたりしますが、実際にはGeo Carmagne N740 SetUTC-53Ⅱ ASを使い分けている状況です。
こんなに積めるの?って驚いた方もおられるかもしれませんね。

このように三脚もうまくモデルを選べば原付スクーターでも持って行くことができます。
特にセンターポール部で抜く方法なら選べる三脚はいろいろあるはずです。
カメラとレンズはバックパックに、三脚は収納部に、がお勧めです。

次回はあると便利な小物などを紹介しましょう。

( 協力:ベルボン株式会社 )

 

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