最近ちょっとBlueskyなどにも書いてましたが、暗号化されるクラウドストレージ(その他の機能もあり)としてFilen( https://filen.io/ )を試していました。良い感じなので課金して使ってみてのご紹介。
暗号化は必要?
まず暗号化について。必要なの?とか、そこまでこだわるの?と言われることがあります。
イマドキはクラウドに連絡先(住所録)、メール、カレンダー、写真画像データ、各種データなど、なんでも同期して保管するようになってきています。
で、そのクラウドのサーバコンピューターまでのルートはほとんどのサービスで暗号化しています。データの通り道は暗号化しているので他の人に見られず安全、ということ。
もちろんデータを保管しているサーバも多くがセキュリティをしっかりさせているはずですのでそこは心配してもしかたがないでしょう。
ではそのクラウドのサーバコンピューターのドライブに溜まっているデータはというと、利用するサービスによって暗号化していたりしていなかったり。
暗号化にもいくつかあって、細かい話はぬきにして以下のようなパターンがあります。
- 暗号化なし-運営会社が見ようと思えば自由にデータを閲覧できてしまうし、ハッキングされると中身が簡単に見られてしまう。
- 暗号化あり(復号化キーを運営が管理している)-暗号化されるのでハッキングされても外部の人に見られない。でも運営会社はデータを見るための復号化キーを持っているので見ようと思えば中身を見られる。
- 暗号化あり(復号化キーを利用者が保持・管理)-暗号化されるので外部の人にデータは見られないし、運営会社も中身を見ることができない。見られるのは利用者だけ。
大雑把にこの3つのパターン。
そう簡単にはクラウドの他人のアカウントに潜り込むことは出ないので気にしない人は気にしないかもしれません。ワタシも多少自分の個人情報を運営に見られる程度はかまわないと思ってます。
でも業務ではワタシのところから漏れてしまうと困る情報もあるので以前からいろいろと暗号化は利用しています。
さて、2番目のパターン。GoogleドライブやMicrosoftのOneDriveなどがこれに相当します。データは安全に保管されていますが、運営側のGoogleやMicrosoftがAIなどでスキャンを行っています。問題ありとされた場合にはスタッフが見ることもあるでしょう。基本は人は見ていませんが、見る可能性も説明されています。
これを気持ち悪いとみるかどうか、が個人利用ではポイントに。
ただスキャンしているおかげで犯罪に関わるような内容は検知されるし、ウィルスやマルウェアなども監視してくれますから、安全ともいえます。
それでも暗号化にこだわるようになっているのはAIがどこまで見て、どこまで学習に利用しているかわからないからです。事実ワタシのドライブ内を見ていないとわからないような返答をAIにもらったことが過去にあります(今は違うかもしれませんが)。
また写真をアップロードしていると、児童ポルノなどを検知してくれるのはいいのだけど、顔も認識しますから学習して生成AIに利用される可能性だってあります。AI企業のなかにはまったく以てモラルに欠ける会社もあります(拒否設定を無視する会社など)。
つまりそういうことも避けたいなら暗号化して、キーも自己管理できるクラウドしかないのです。
となると、Google Drive、OneDrive、などにはどうでもいいデータしか置けないということになります。
E2EE がポイント!
暗号化を利用したいなと思ったら、「E2EE」「エンド・ツー・エンド(暗号化)」のキーワードに着目を。そしてできればプログラムの中身が公開されている「オープンソース」のサービスを。
エンド・ツー・エンド暗号化は、使用するパソコンやスマートフォンで暗号化してデータを送り、クラウドに保管。見るときには暗号化されたものをダウンロードして使用するパソコンやスマートフォンで復号化。という流れを行ってくれます。自分の端末以外では見られないのです。
端末で暗号化する分 少しデータ転送が遅くなったり、バッテリーの消費が多くなる可能性もありますが、何より安全です。
ちなみに、最近犯罪者が暗号化されたサービスを使用しているようですが、捜査機関が本気で調べればいろいろバレます 😝
管理している会社が情報提供に協力するでしょうしね。
使ってみた感想
ワタシもそれほどたくさんのサービスを試しているわけではありませんが、最近Filenを使ってみて、まだ4年程度の若いサービスなので一部足りない機能もあるけど、同期も早いしいい感じ。いくつかリストしてみましょう。 以下にはADリンクも含みます。
Filen
2021年から正式にスタートしたまだ若いサービス。ドイツの会社でドイツの法律が適用されます。Webサイトは日本語化されてないけど、アプリなどはほぼ日本語化されてます。プログラムはオープンソース化されています。
当初10GBが無料で使え、ユーザーを紹介すると30GBまで(計40GBまで)拡大されます。
データの他、連絡先機能、ノート機能等があります。
他にも強固なセキュリティのサービスもあるのだけど、同期のファイル転送が遅かったり高かったり難があることが多いのだけど、ここはそれほど高くはなく、そして何よりデータ転送が速い。今まで使った暗号化クラウドドライブでは一番速いかと。なので課金して使っています。
基本的にサブスクですが、まだスタートしてユーザーを増やしたい段階なので買い切りのパックもあります。一度買えば生涯使える容量です。それこそ開始当初はそれなりの容量をかなり安価に販売したようですが、現在はそれはなくなり、スターターのLifeプランとして 100GBを販売。でも重ねて購入できるので2025年8月現在では好きなだけ購入できるようです。ただBlackFridayセールは今年でやめるだろうとアナウンスしていますし、Lifeプランの販売そのものもやめる可能性を示唆しているので、必要な方はお急ぎを。
ちなみに、ワタシが気になっている点は、まずHEIF形式の写真データをパソコン版アプリで表示できないこと。スマホから自動アップロードしても、パソコン版のFilenアプリで見られません。ただし、フォルダ同期などをしてあればパソコンの標準のフォトアプリなどで見られます。
もうひとつは、同期の際にデータ本体を転送しない設定、ファイルオンデマンド(macOSでいえばFileproviderd)に対応しない点。フォルダ同期を使った場合は、端末のどこかに同じ容量のスペースが必要になります。ただし、Filenはネットワークドライブとしてパソコンにマウントさせることができるので、データの実体を保持する必要がない端末ではネットワークドライブとしてマウントするのが吉。
あとはノート。これは仕様なのだけど、Filenのノートには画像やPDFを埋め込めません。Filenはノートはストレージを消費しない(カウントしない)としていて、そのせいもあってかデータの埋め込みができません。容量カウントされてもいいから埋め込みができればいいのになぁ・・・。なのでまったく未課金のユーザーはノートが10までに制限されてます。
そして写真の自動アップロードができるのはいいのだけど、指定したフォルダに全部ため込まれ、年別や月別といったフォルダ分けをしてくれません。アプリで見る分には問題ないのだけど、複数の端末を使って似たファイル名が増えてくるとちょっと管理が大変になりそうな気も・・・
まぁ、そういったこまごました点は今後改善されていくでしょうから、この内容、値段でこの速度はお勧めできるもの。今後はオフィス機能も持たせるとか言ってるから楽しみでもあります。
iCloud Drive
AppleのiCloud Driveは、デフォルトでオフになっている「高度なデータ保護」機能をオンにするとE2EEとなり安全になります。macOSからもiOSからも設定可。Windowsでの利用も含まれます。
プログラムはオープンソースではありませんからナニやってるかはわかりません。
キーはユーザーが保存、保管しておく必要があります。それをなくすとAppleでもデータを復元できなくなります。
気をつけたいのはiCloudのすべてのデータが暗号化されるわけではないこと。メールや連絡先、カレンダーなどは暗号化の対象外。いろいろなソフトや共有でのしやすさを優先とのことらしい。
ちなみに、フォルダ同期などを行っていると、写真の同期を有効にして写真としてアップロードされるものはまぁまぁの速度だけど、普通のドライブエリアのデータ転送は激遅です 😅
嫌になってワタシはテキスト系以外は置いていません。それでも秒数キロバイトとなることがあり遅く感じることも多いです。
Proton Drive
以前にも複数回紹介しているProton。スイスのサービスで安全性の高さはトップレベル。他の国よりもプライバシーにより配慮した規定になっている。こだわる人はこれが一番かと。
プログラムはオープンソースで、第三者のチェックも頻繁に行ってる様子。
WebサイトはVPNのページ以外は日本語化されていないけど、アプリは日本語で使えます。
でもちょっと高め。大容量を求めるなら高額なプランを選ぶしかない。Proton Mail、カレンダー、Pass、VPNなど複数のサービス(←すべて暗号化されます)を利用するならUltimateプランがおトク。Ultimateプランのドライブ容量は500GB。ワタシはこのUltimateプランを利用してきています。いつまで続けるかはわかりませんが・・・。
同期はFilenよりは遅いです。特に大きなデータをフォルダ同期でアップロードさせるとかなり待たされるケースもあります。
pCloud
登録すると5GBの容量がもらえ、紹介などすると10GBまで無料で使用可能。生涯容量が比較的安めに買えるのが魅力。こちらもベースはスイスのサービスで、プログラムはオープンソース。
アプリは日本語で使えますし、Webも多くが日本の代理店(?)が日本語で説明しています。
pCloudは基本的に通常の暗号化されないストレージで、生涯ストレージ単体はそれほど高くないけれど、暗号化させるには別途料金が必要です。となるとそれなりのな値段となり、だったら価格帯で言ったらProtonの方が良くね?となってしまいますし、価格にこだわるならFilenの方が、となります。一時期セールで暗号化セットで販売していましたが、短い期間で終了しています。
また、こちらはワタシは課金せずに試していましたが、速度も遅いです。iCloudよりはちょっと速いことも多いけど、遅いです。しかも細かいところでクセがあります。ワタシ的にはかなり使いにくかったです。アプリの評価などを見てもそういう細かいところで使いにくさが指摘されるケースがありますね。
なのであまり深く試すことなく、Filenが良かったので、ワタシはこちらのアカウントそのものを削除してしまいました。
ということで、またダラダラ書いてますが、とりあえずオススメはFilenかProton。充実を求めてより強固を求めるならProton、ドライブに速さを求めるならFilen、かな。Protonは他のサービスもあるので複数使う人は迷う必要はないかと。Filenはユーザーが増えても今の速度を保ってくれるのかは不明。機能はいろいろ増えることがアナウンスされているのでこの先楽しみなサービスでもあります。



コメント